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MEMOブログの方から引っ張ってきました。


万丈目はプロ決闘者(KCと契約中)、十代は職業ヒーロー。
たぶんサンダーが21くらい(…)
KC社員のオリキャラ出てます、すみません(笑)
オリキャラ苦手な方いらしたら、ホントにすみません。

++  ++  ++  ++

 

「よっ!久しぶりだな、万丈目ぇ」
「……何だお前、その荷物は」

前触れも何もなく控え室に現れたヒーローは、片手を上げて軽やかに挨拶を寄越す。
普段はどちらかといえば軽装のその男は、今日はなぜだか肩から大荷物を下げていた。
万丈目は、再会を叙すでなく歓迎もせず半目で迎えてから、十代の傍らに立つマネージャーに、ちらりと視線を流す。

「李。良く通したな、こいつを」
「フリーパスをお持ちでしたので」


 


銀縁眼鏡の縁を押し上げながら淡々と応える男は、首を傾げる万丈目には構わず、控え室の扉を大きく開けた。
間髪入れずに賑やかな声が室内で弾ける。

「やぁやぁ、お見限りだったねサンダーちゃん!
 呼ばれてないけど飛んできたよ!」
「橘祢(きつね)さん!?」
「もちろん私が来たからには麻箕(まみ)ちゃんも一緒さ!」
「お二人とも仕事どうしたんですか!?
 ……っ、どういうことだ十代!!」

心底楽しそうな声を上げて控え室に現れた妙齢の女性は、真っ直ぐ万丈目に歩み寄ると勢い良くハグをした。
スタイルの良い彼女の胸元に頬を押し付けられて、同性とはいえ万丈目が真っ赤になる。
キツネ、と呼ばれた彼女が上機嫌のままに半身を捻り、優雅に片手を差し伸べてみせれば、扉の外にはもうひとり部外者の男性が立っていた。
いや、部外者とも言い切れまい。
彼らは紛れもなくKC社員である。
しかし、ただの社員ではない。
この2人は『特殊技術研究室』に所属し、社の中核を担う技術者たちであるのだ。

女性に事情を説明してもらうのは諦め、抱擁されたままで万丈目が十代を睨みつける。
苦笑を浮かべた十代は、ひとまず万丈目の質問をスルーして、肩を竦めて李に問いかけた。

「時間、どのくらいある?」
「あと1時間弱というところでしょうか」
「大丈夫かな、橘祢さん」
「任せておきなさい!」
「じゃ、そゆことで頼みます」
「……どういうことだ!」

黙々と荷物を部屋に運び込んでいた麻箕が、十代に向かってひとつ頷く。
癇癪を堪えきれずに叫んだ万丈目の顎を人差し指で掬い上げて、橘祢は眸を細めて笑った。

「おやおや、賢いサンダーちゃんなら分かるだろう?
 私と麻箕ちゃんがココにいるんだ」

こくり、と万丈目が小さく喉を鳴らした。
もちろん、彼らの仕事は知っている。
間近で何度も見たこともある。
不本意ながら、魔法のような彼らの技術に翻弄されたこともある。
心なしか青褪めながら、万丈目は懸命に彼女を押しとどめようとした。
無駄な努力ではあったが。

「…でも、その、俺は…これから試合、が…」
「分かっているよ。
 限りなく手早く手は抜かずシンプルに完璧に任務を遂行するとも!
 さぁ麻箕ちゃん、始めようじゃないか!」
「うわー!!!」

手始めとばかりに万丈目から黒いコートを剥ぎ取りながら、これ以上ない程の良い笑顔で美女は宣言した。

「デコレーション開始だよ!」

そう。
彼女らはKCお抱えの、とびっきり腕利きの衣装師たちである。

 


十代たちが持ち込んだのは、和服の晴れ着一式だった。
たとう紙を開くと、目にも鮮やかな友禅が滑り出す。

「どうせならガッチャくんの分もあればねぇ。
 一緒に綺麗にしてあげたのに」
「遠慮します」

万丈目に手際よく着せ掛けながら軽口を叩いた橘祢は、即答に声を立てて笑った。
そして、万丈目の前に膝をつき、袷を直しながら彼女の顔を覗く。

「サンダーちゃん、今日はひな祭りだって覚えているかい?」
「……は? 
 …あぁ…そういえば」

やや茫然としていた万丈目は、問いかけに数度瞬いてから小さく頷いた。
しかし、質問の意味を取りかねて眉を下げている彼女に、十代が助け舟を出した。

「だからさ、万丈目ん家から持ってきたんだぜ、その着物」
「……は!?」
「今年やっと出来あがったんだってさ」
「あぁ、そうだろうねぇ。この着物は良い仕立てだ。
 私が他人の作ったものを褒めるなんて、そうないことだよ」

目を瞠る万丈目に悪戯っぽい笑みでウインクを飛ばした橘祢は、万丈目を挟んで立つ麻箕と立ち位置を交代して、繻子の帯を器用に結んでいく。

「本来、こういう派手な柄っていうのは、背の小さい子には向かないのさ。
 この着物はサンダーちゃんのためだけに造られたんだろうねぇ」

薄紅の地に古典の柄を鮮やかに染め抜かれた振袖は、一見すれば華やかで見事だが、実際に着てみると着物に負けてしまうことがある。
だが、この着物は最初から対で誂えたかのように万丈目に似合っている。
柄の位置も配分も、申し分ない。

着物を染めから注文で作ろうと思ったら、それなりに時間も金額もかかるものだろう。
いくら祝い事とはいえ、年中行事のためにそこまでするとは、とさすがに万丈目が絶句する。

「親心さ」
「……え?」
「餞ってことじゃないかい」

緩く瞬いた万丈目が、壁際で作業を見守る十代を見遣る。

「たまには顔を見せに帰って来いってさ」

口端を上げた十代が、いつものポーズを決めて家族からの伝言を伝えた。

 

++ ++ ++ ++


蛇足ながらまだ書きたいシーンがあるので、近いうちに続きを上げます(笑)
しかしオリキャラ出した意味あまりなかったなー、キツネ以外。
大まかに言うと、キツネが着付け、タヌキがメイクです。
あとデザイナーもいる(笑)
李は中国系アメリカ人で、KCから厄介払いされてきた人です←
 

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