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充分に身体を温めた獏良がバスルームから出て来たのは、海馬がすっかり身繕いを整え、いくつかの雑事をこなした後だった。
ソファセットに腰を下ろし、書面を眺めていた海馬が目を上げる。
大きめのパジャマを身に付け、バスタオルを肩にかけたままこちらに歩いて来る獏良を見遣った。


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海馬邸には、いつの間にか使用者の定まった客室がある。

温められた室内に入ってようやく、獏良の躯も冷えを認識したらしい。細かな震えを触れあった肩に感じ、海馬は僅かに足を速めて廊下を進み、見なれた客室の扉を開いた。
壁際に取り付けられた釦を押して部屋の灯りを点け、空調を入れると、獏良を担いだまま真っ直ぐに備え付けのバスルームに向かう。
洗面所を抜け、乾いたバスルームに踏み込んで、備え付けられた猫足のバスタブ前で止まる。ようやく荷物を肩から下ろした。

 

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たぶん2心1体の海獏。


キーを叩く軽やかな音が止むと、夜とはいえ執務室には不思議な程の静寂が訪れる。

重厚なデスクに乗せた最新式PCの電源を落とし、海馬はようやく深い息を吐いた。
目を上げて卓上の時計を確認すれば、日が変わるまであと一時間かからない頃合だ。
ここのところ続いていた仕事上の厄介な問題にも、何とかケリがつけられそうで、思わずと肩から力が抜ける。
穏やかに瞼を下ろしながら革張りのチェアに深く身体を預けた時、何処からか微かに硬質の音色が耳に届いた。


 

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古代人が友情出演。


++++   ++++   ++++

「…ん?」
「どうした」
「まだ何か入ってるっぽい…」

白い袋を持っていた獏良が、ごそごそと身動きをした。
さっきまでは確かにぺちゃんこだった袋が、いまは確かな膨らみを持っている。

「しまったなぁ、もしかして届け忘れかな」
「困るだろう、それは」

まったく困っていない声で言葉を交わすと、獏良が諦めたように袋の口をゆっくりと開いた。


Merry Christmas!

 

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海獏のターン…?


++++   ++++   ++++


「…終わったか?」
「んー…。
 みたい、だね。」

しばらく待っても次の名前が出てこない紙を器用に巻くと、元の通りにリボンで結びながら獏良は笑みを浮かべてうなずいた。

「お疲れさま」
「あぁ。
 お互いにな」

日付けはだいぶ前に変わり、冷え込みの厳しさも過ぎて、夜が明ける間にはそうかからないという時間である。

 

銀の星は空に


 

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